イタリア陶芸
イタリア
博多人形師、井上和彦さんは5年連続で与一賞を受賞している。その技術の高さはもちろんだが、人形が訴えかけてくる物語が感じられる作風が魅力的だ。博多人形の伝統を追求しながら、一方ではイタリアで陶芸を学び、その技法や意匠を取り入れようと挑戦している。

<三代続く博多人形師とお聞きしましたが、早くから進路を決めていたのですか。>
 大学4年生の就職活動の時期になぜか人形作りへの興味も沸々と湧いてきたんです。そんな時、人形師の研究生を対象にした作品展の募集があって、応募してみようと見よう見まねで、はじめて人形を作ってみたんです。すると、どんどん人形作りへの興味が深まってきたんです。家族には人形師を継ぐと伝えると、すぐに弟子入りだと言われました。ですから卒業する前から、弟子としての生活が始まりました。

<当初は、どんな作品を作っていたのですか。>
 例えば、22歳で市長賞展に出品したのは3人の女性が音楽を奏で舞い踊る世界。万葉集を読んでそのイメージを人形に託して訴えさせたいと思って作ったものです。技術では出せないような部分、例えば人形が感情を持っているように表現を大切にしています。

<山笠の人形製作を始めたのは。>
 23歳で亀田均先生のもとに山笠の人形製作の修行に行かせてもらいました。実際に山笠人形を製作したのは、修行をはじめて6年後。先生から作ってみないかと進められたのが最初です。以来、毎年西流のかき山を製作しています。

 
ガッティ工房
 
ガッティ工房
イタリア
<イタリアで陶芸を学んだのは。>
 博多人形の伝統を追求するのはもちろんなんですが、この世界に新しい風を入れたいとも考えています。九州電力の若手工芸家国内派遣研修制度で研修先はイタリアのファエンツェ窯のガッティ工房。約半年間マジョリカ焼きの技法を学びました。マジョリカ焼きは釉薬(うわぐすり)が独特のもので、作品を純白色に仕上げます。
 ガッティ工房では、最初からマジョリカ焼きの絵付けを体験しました。研修の合間には、マジョリカ焼きの人形を製作することができました。マジョリカ焼きの技法を使った人形なので、絵付けした模様もヨーロッパの伝統的な装飾模様なんですが、日本の衣装にも意外にしっくりとくるんです。
イタリア陶芸
  <マジョリカ焼きの技法は、今どんなふうに役だっているのですか>
 マジョリカ焼きで学んだヨーロッパの装飾模様をモチーフに博多人形の衣装のデザインに取り入れたりすることもあります。
 いまでも取り組んでいるのは、マジョリカ焼き独特の釉薬と焼成の方法なんです。この技法を取り入れたて、博多人形の可能性を広げてみたいと思っています。

<最後に。人形づくりの魅力はどんなことでしょうか。>

 作者より人形が長生きするということでしょうか。つまり、人形に託した作り手の思いも人形とともに後世に伝えられていくということが、この仕事の魅力だと思います。

井上和彦 井上和彦(いのうえかずひこ)
1968年福岡市生まれ。
1991年から5年連続で与一賞受賞、ほかに市長賞など受賞多数。
1998年より、博多祗園山笠人形製作。
1999年イタリアへ留学、ガッテイ工房でマジョリカ焼きを学ぶ。
 
 
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機関誌「電気と九州」
イタリア・ガッティ工房での留学の模様は
←左の記事もご覧下さい。

(機関誌「電気と九州」 平成14年8月号)

 

井上博多人形工房へのお問い合せはこちらから=====> mail : info2@inoue-hakatadoll.com
 
 
 



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